【アイデア発想法】少年ジャンプ作家のインタビュー集「マンガ脳の鍛え方」から、アイデアの出し方を考える

マンガ脳の鍛え方 仕事

 2010年、「週間少年ジャンプ」40周年記念出版として人気マンガ家37名のインタビュー集「マンガ脳の鍛えかた」が発行されています。内容としては、「少年ジャンプを中心に活躍されてきた漫画家の先生方が、その技術・創意工夫を語り下ろしたものを集めた」ものになっています。

 漫画家の先生方がどのように作品を生み出していっているか、アイデアをどのように発想しているか、興味がそそられますね。以下に、まとめてみました。

≪徳弘正也≫

 「シェイプアップ乱」、「ジャングルの王者ターちゃん♡」の作者である徳弘正也さんのネタ探し方法についての記載を抜粋します。徳弘正也さんは、インターネットは使わずに図書館で本を読んでネタを探すそうです。

「強烈なインパクトのものは、自分で覚えておこうとしなくても、記憶に残っていく。それが何年か後に湧き上がってきて、別の機会に見た何かとつながって、物語ができていくのだと思います。だから、マンガを描く人は、その時に無駄だと思うかもしれないけど、マンガじゃないものをいっぱい見た方がいい。今起こっている現実を撮ったドキュメントとか、よくできた映画は特に観た方がいいと思います。」

 インパクトのあるものが、後に別の情報とつながってアイデアになるという徳弘正也さんの考え方はまさにイノベーションの思考だと思われます。そのために、関係ないような分野の知識を取り入れるべく、アンテナを広げておくことが、アイデア発想につながるということですね。

≪荒木飛呂彦≫

 「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの荒木飛呂彦さんのインタビューではこのような記載がありました。

”謎”の探求がアイデアの基本です。知りたいと思うことが、マンガを描くきっかけになる」

 好奇心が創作のモチベーションということでしょうか。たしかに、「ジョジョの奇妙な冒険」を読むと、この先どうなっていくのだろうという好奇心がくすぐられます。これは作者の荒木飛呂彦さんが”謎”をアイデアの起点として創作しているからなのでしょう。さらに、次のような記載もありました。

「1970年代って、マンガに新しいものがばんばん出てきていたんですよ。作家それぞれが自分で開拓して、みんな違うものを描いていた。そのインパクトが強かったから、僕もずっと自分だけのものを探していましたね―――(中略)―――こいつ何描いてるか全然わからないとか、少年誌向きじゃないとか、編集者からも色々なことを言われましたね。でも、それに負けちゃだめなんです。そのままやり続けるんですよ。ここは誰も踏んでいない場所だと、信じて踏み続けるしかない―――(中略)―――アイデアっていうのは、必ず何かあるんですよ。それよりも描こうとする『意志』がなくなっていくことのほうがやばいんです。」

 オリジナリティを求めるということは、誰もやっていないことをやるということです。誰もやっていないことに対して、周りは評価してくれないことの方が多いでしょう。それでも自分を曲げずに貫き通す力を持つことの重要性、さらに大事なのは、アイデアではなく、やりぬく『意志』だということもおっしゃっています。これが一流になる人の思考法なのだと、勉強になります。

≪岸本斉史≫

 「Newsweek日本語版」で「世界が尊敬する日本人100人」に主人公のうずまきナルトが選出されるなど、世界的人気作「NARUTO―ナルト―」の作者である岸本斉史さんのアイデアは担当編集者さんとの雑談の中から生まれるそうです。

「僕だけの目線で作っていては、ひとりよがりなものになってしまう。作品がどういうふうに読まれるか、客観的な意見を聞くことが大事―――(中略)―――(担当さんの意見が)よくわからなくても意見を取り入れてみようと思うことがある(笑)」

 何かを生み出す人は、自分の気持ちや考えを発信したいという気持ちが少なからずあるはずで、意見を曲げない頑固者になりがちなのではないかと思っていました。しかしながら、岸本斉史さんは、作品を客観的に見れる担当さんの意見を大事にし、(よくわからなくても)取り入れようとする柔軟性をもつ方だということがわかります。「NARUTO」はひとりよがりになっていない作品だから、誰からも、世界からも愛される傑作になったのですね。

 アイデアを考える際は、自分ひとりで考えこむより、信頼できる誰かと雑談しながら思いつくというプロセスが最適かもしれません。

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