「妻に稼がれる夫のジレンマ ~共働き夫婦の性別役割意識をめぐって」

夫に稼がれる おすすめ小説

 なぜ私がこの本を読んだかというと、①妻の出向に伴い香港で駐在夫をしているから②香港で知り合った駐在夫の友人に教えていただいたから。

まさに今の私が読みたい本でした。

 著者の略歴に関して。慶応大の学部卒で共同通信社勤務→休職制度を利用して駐在夫となる。在米中に退職し、社会人大学院にて駐在夫のキャリア形成に関する修士論文の執筆(本書の元となっている)された小西一禎さん。

 内容に関しては主に⓪性別役割の変化に関して①海外駐在に同行する夫(駐在夫)のインタビュー②駐在夫のキャリア形成とその準備に関してというイメージ。

性別役割とは、「男は仕事、女は家事・育児と仕事」のような考え方のこと。本書はこの意識が根底にあることを基盤に語られている感触が強い。たしかにこの性別役割意識が強くすり込まれている世代の男性にとっては「妻に稼がれる夫の”ジレンマ”」は非常に大きそうだ。

ただし、本書でも取り上げられているが、およそ2014年(私が大学院を修了して社会人になったくらいの時)からこの性別役割の意識変化がおきているようだ。

意識変化グラフ

かくいう私も、妻に(自分より多く)稼がれていることに関しても、仕事を辞めて駐在夫になったことに対してもあまりジレンマ・葛藤のような気持ちは抱いていない。

ただし、駐在生活が終わり、日本に戻ったときに就業したいとは考えており、そのときに希望の職に就けるのかという不安意識は大きい。

駐在夫として、日々の家事や子供の送り迎えなどをこなしつつ帰国後のキャリアのために何かしらのスキルアップ・習得を考えねばならないと焦りは感じている。

本書でインタビューを受けた方々は駐在夫機関中に既存スキルを昇華させたり、新スキルを獲得したり、行動していることが書かれている。

スキルアップに関して

《本書のまとめ》

本書p.233より引用↓↓

二〇二三年六月に公表された「令和五年版男女共同参画白書」は、硬直的で固定的な性別役割意識を改める必要があるという考え方を強く示した。本書で繰り返し指摘してきた「男性は仕事、女性は家庭」とする固定的な観念を「昭和モデル」と断じ、男性、女性を問わず、あらゆる人が希望に応じて、家庭でも仕事でも活躍できる「令和モデル」を実現できる社会に移り変わるべきだと提言したのだ。

(中略)

(一)男性の長時間労働を是正し、勤務時間にかかわらず仕事の成果で評価され、昇進を目指せる環境整備、(二)再就職や転職にあたり、スキルを向上させるためのリスキリング機会の提供、(三)男女間賃金格差の改善や女性の管理職割合のさらなる引き上げーーーなどを求めている。

本書は駐在夫へのインタビューを通じて、「男の生きづらさ」を解消するためにどうすればいいのかを考えている本である。駐在夫のインタビューなどを通して、生きづらさとはどのような点があるか、日本の男性はなぜ幸福感が低いのか、それらはどのように解消すればいいのかを考察している。

旧い固定観念にとらわれず、妻の海外転勤に付いて行ける駐在夫のような”柔軟に思考できる人”が一人でも増えていくことが鍵になるのかもしれませんね。

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