上野菜穂子さんについて。
立教大学大学院博士課程単位取得退学。文化人類学者。
オーストラリアの先住民族アボリジニの研究をされていた(いる?)そうです。
文化人類学者の先生が描くファンタジーってどんな感じなんだろう?と気になりますよね。
作品は、「アボリジニの世界観に影響を受けているかもしれないが、アボリジニ的なものは意識して外している」とのことです。
国同士の駆け引きが好きで、国同士、為政者と民の関係などの中で物事が動いていく瞬間をとらえたいという思いがあるそうで、これは、守り人シリーズ第4弾「虚空の旅人」を読むと「なるほど」と納得できます。
「虚空の旅人」の文庫版あとがきにはこのような記述もあります。
もともと私は、「多音声の物語」を書いてみたい、と思っていました。社会的立場も、文化的背景も異なる多くの存在がひしめく世界を描いてみたかったのです。
多くの異なる民族、異なる立場にある人々が、それぞれの世界観や価値観をもって暮らす世界―――そういうものを、生々しく具現化できたらと願っていました。
「虚空の旅人」新潮文庫、文庫版あとがきより
このような経歴を有する著者がどのようなファンタジーを描くのか。
実際に読んでみると、めちゃくちゃ没頭できる、素晴らしいハイ・ファンタジーでした。
上橋菜穂子さんの作品どれもオススメです。小学生高学年くらいから読めるのではないかと思います。